2012年02月24日

純タングステンの加工


難削材の加工が得意と公言しておりますので、いろいろ難削材の加工依頼が来ます。


とは言っても私の得意な材質はInconel718、Waspaloyなどの昔からよく加工してたニッケル基合金。


SUS304なんかは豆腐と認識しています。


あと加工できるのは割れやすい純モリブデンとか、少しずつ経験を積んできた多種多様なセラミック。



タンタルとか純タングステンなんかは業界が違うため、加工したことがありませんでした。


しかし数カ月前から純タングステンを加工せよとの強いプレッシャーが来ていました。


うちでよく加工する材料とタングステンを比較してみると引張り強度の序列は以下のような感じです。


SiCセラミック 3300Mpa HV2400 (加工できる)
超硬(タングステン カーバイド) 1600〜2500Mpa HRC80≒HV1865 (折ることなら良くあるw)
☆純タングステン 1800〜2200Mpa HRC30 (加工したことない) http://www.nittan.co.jp/products/tungstenkyoudo.html
ハイス HRC60 (加工できる)
Inco718 1400Mpa HRC40 (余裕で加工できる)
SUS630 1310Mpa HRC40 (余裕で加工できる)
A286 1000Mpa HRC32 (余裕で加工できる) http://xn--qckn4dud5e146u9qq.jp/article/100979352.html
6Al-4V-チタン 820Mpa HRC33 (余裕で加工できる)
SUS310 627Mpa (豆腐)
SUS304 520Mpa (豆腐)
純チタン 430Mpa (豆腐)

(Mpa=N/mm^2)


引張強度と加工しやすさに比例関係があるかどうかは知らないが、タングステンはなかなか強そう。


そして加工依頼品は純タングステンのブッシュみたいなものにM3(近辺)の内径ネジを切るという、自分ではちょっとモノに出来そうもないヤツ。


タップで切るのはまずムリと早々に判断し、大先輩にヘルプを依頼したものの試験してもらってるそばから設計変更されまくりでしかも客先がタングステンはコストがうんぬん言い始めて保留されるという。。。



なんや〜と思っていたところ、別の形状の純タングステン部品の製作依頼が来ました。


納期が4日しかないので、誰にも頼らず自分で加工せざるを得ない状況。



工具より被削材のほうが柔らかいなら削れるの法則から行くと、純タングステンはHRC30程度なので普通の超硬でも削れるはずです。

なんならハイスでもイケるはず。


しかし、事前に大先輩からドリルで穴あけ加工したらドリルが折れて材料が割れたと連絡を受けていたので、なんかやる気出ず。


ダイヤモンドまではたぶん必要ないと思うが。。。



と思いながら試験用のタングステンの端材をバイスに挟んで軽く締めたら 「パチンっ・・・」


。。。わぁ〜割れてまった〜。



気を取り直してアルミの端材でタングステンの試験片をはさみ、ごく普通の超硬エンドミルで削ってみると、意外や意外、普通にキリコが出ました。


芯出し顕微鏡を使って光学で削った場所の寸法を計測してみると、工具逃げや素材割れもなく、寸法は狙い通りに出てます。


しかし加工距離がのびていくに従って加工部のバリが少しずつ大きくなり、加工場所付近に塑性変形による材料の盛り上がりが観察されました。


圧縮応力ですぐに割れるくせに、塑性変形もするんだなぁ。やはり金属の特性はあるということか。


エンドミルの刃先を顕微鏡で観察すると、素晴らしく均一な逃げ面摩耗が観察されました。


なんだ余裕じゃん。



M3メネジの加工はムリだけど、通常ミリングならなんとでもなりそうだと試験の結果から判断してバリバリと加工を実施しました。



純タングステン、制覇。



しかしM3メネジ(しかも止まり穴)はどうやって加工しましょう。。。

私の中では電着ダイヤのプラネットタップが有望ですが。
posted by yoshiaki at 00:47 | 愛知 ☁ | Comment(10) | TrackBack(0) | 製作事例 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
面白そうなことやってますね
タングステン系は、触ったことないです
触ってみたい♪

超硬で削れるならM3も
超硬でプラネットもありかも
最悪の場合 放電も選択肢にいれてみる?
Posted by 雄鳥 at 2012年02月24日 13:23
雄鳥さん


さわってみたいですか?
サンプルの端材送りましょうか。


超硬で削れますしハイスでも削れるみたいですがちょっと摩耗が早いみたいです。

超硬プラネットタップで3〜4穴くらいのM3ネジが切れるとして、けっこう金額が。。。


放電は大先輩に試験してもらっていますが、タングステンは融点が高いので製作に時間がかかるのと止まり穴だとちょっと不利みたいです。


超硬プラネットタップを大量買いして工具費を下げましょうか。。。


Posted by ヨシア機 at 2012年02月27日 07:50
>サンプルの端材送りましょうか。

是非お願いいたします

超硬プラネットタップは、メーカーに交渉で
共同研究にしちゃいましょうww
Posted by 雄鳥 at 2012年02月27日 13:41
雄鳥さん


すごいちっさい端材ですが、送っておきました。


片方はドリルで割ったやつ、もう片方はM3の下穴が放電であけてあるやつです。
Posted by ヨシア機 at 2012年02月28日 21:23
届きました♪

ちっこいけど、重いですねぇ〜
考えたら、超硬チップも似た様なのね

ありがとうございました
遊ばせて貰います
Posted by 雄鳥 at 2012年03月02日 21:59

雄鳥さん


超硬を削るのに比べたら、純タングステンはラクなもんだと思います。


Posted by ヨシア機 at 2012年03月04日 23:04
初めまして。

いつも楽しく拝見させていただいております。


以前自分も純タングステンにM4を加工した事があります。
下穴はATOMの超硬ドリル、ネジきりはOSGのED-PNTという電着を使って加工しました。
結果はなんとか10穴は加工できたもののそれ以上は刃物がまいってしまって続行不可能という煮え切らない結果になりました。
この結果が良いのか悪いのかの判別もつかず悶々としています。。。
Posted by ヴェイロン at 2012年03月10日 17:38

ヴェイロンさん


はじめまして、これからもよろしくお願いします。

超硬ドリルで穴、あけられるんですね。

私は怖くて、ヘリカル穴あけでやりました。

ねじ切りはやっぱり電着ダイヤですね。

わたしもそれを使いたかったのですが、やたらと小径なのと実はインチネジなので山の角度60度で良かったんだっけ?で迷ってしまいました。


小径になればなるほど、ダイヤの量がすくなくなってきっと不利になりますよね。


私の見積だと製品1個に1000円の工具費でも大丈夫なのですが、たぶん10穴って十分にたくさん加工できていると思います。

Posted by ヨシア機 at 2012年03月15日 00:51
はじめまして。
いつも楽しく拝見させていただいております。
私はタングステン合金の加工にチャレンジ中でした。
マシニングで削っているのですが、硬い!硬い!
いろんなエンドミルを使ってみましたがどれもすぐに磨耗しダメ。
おそらく、細かい切子&熱が影響しているのだと思われます。
現在は工具にちょいと細工をし、カスタムマクロでプログラムを組んで加工しております。なんとか削れるようになりました。
このような材料は厄介ですが加工できたときは嬉しいですよね。
また書き込みまっす。
Posted by takashi at 2012年04月15日 12:35

takashiさん


はじめまして。
これからよろしくお願いいたします。


わたしもタングステンの加工は、すこし経験値があがって嬉しかったです。


ダイヤやCBNでしか削れないような材料なら諦めてソレで行きますが、ヘタに超硬でもけずれるからなんか難しいのかも知れませんね。


Posted by ヨシア機 at 2012年04月16日 12:49
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